ファーレンハイト/Fahrenheit
 午後十一時二十分

 この前と同じだ。
 優衣香が寝室にやって来るのを俺はベッドで待っている。
 ついに俺は優衣香を抱ける。優衣香を俺の物に出来る。

 ――想像しただけでギンギンなんですけど。

 絶対にこれ、挿れたら即、ゴーゴーヘブンだと思う。だって俺、五年近くヤッて無いし。マズいな。どうしよう。一発、抜いとこうかな。でもな、優衣ちゃんはそろそろ来るみたいだし、抜いてる所を見られたら恥ずかしいな。
 よし、じゃ、刑法と刑事訴訟法を思い出せば……と思ったけど、脳内映像の刑法はモザイクだったけど刑事訴訟法は真っ黒なんですけど。おかしいな、一生懸命覚えたような気がするんだけどな。じゃあ、警察職員のナントカを思い出してみ――

 ――優衣ちゃんが来た。

 ワンピースとガウンに身を包む優衣香は、カールする髪を横に流しながら俺の元へ来た。
< 218 / 232 >

この作品をシェア

pagetop