ファーレンハイト/Fahrenheit
 俺は仰向けになり、優衣香の腰を持ち上げて、下から突き上げた。
 優衣香の声が大きくなる。
 腰を動かすたびに結合部からはグチュグチュと音がする。
 優衣香の声も大きくなる。

「どうして欲しい? 何をして欲しい?」

 優衣香は俺を真っ直ぐに見据えて言う。

「もっと、激しく突いて欲しい」

 優衣香は自分でも、気付かないうちに淫らになっていく。
 優衣香の望み通り激しく動くと、優衣香の体が弓なりにしなった。
 そのまま動き続けていると、優衣香は俺に抱きついて体を震わせた。
 そして、俺達は同時に果てた。
 力なく横たわる優衣香の隣に寝転がった。
 汗ばむ優衣香の頬に触れると、指先が濡れた。
 指先を舐めると、優衣香は恥ずかしそうに目を伏せた。

「優衣ちゃん、大好きだよ」

 優衣香は小さく笑みを浮かべて、目を閉じた。
 穏やかな表情をしている優衣香を見て、俺は思った。

 ――ずっと、そばにいるよ。だって、俺は優衣ちゃんが大好きだから。
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