仮面夫婦を望んだ冷徹な若社長は妻にだけ惚けるような愛を注ぐ。【逃亡不可避な溺愛シリーズ1】
「……まぁ、そういうことです。……芽惟さん。今後も、どうぞよろしく」

 彼が肩をすくめて、お茶をまた口に運ぶ。その後、またフォークを持ってパスタを口に運び始めた。

 今後とも、どうぞよろしく。短い言葉に込められた、何処とない温かさ。

(敦也さんって、どうして、冷徹な若社長なんて――)

 少なくとも、芽惟の見てきた敦也には、そういう一面はないように思える。多少なりとも自他に厳しいが、それは経営者として必要なことで――。

(なにか、あるのよね)

 そう思うが、彼に深入りすることは出来ない。だって、自分たちは契約夫婦。

 深入りするなんて――きっと、契約違反だから。それだけは、よくわかるのだ。
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