仮面夫婦を望んだ冷徹な若社長は妻にだけ惚けるような愛を注ぐ。【逃亡不可避な溺愛シリーズ1】
 翌日。

 カーテンの隙間から降り注ぐ太陽の光に、芽惟は起こされた。

 身じろぎして目を開ける。……見知らぬ場所だと思って、驚いて起き上がる。

 が、すぐに昨日あったことを思い出す。

「そうだわ。……私、引っ越したんだった」

 未だに全く実感はわかないのだが。

 そう思いつつ、芽惟はベッドから降りる。ベッドはダブルサイズであり、広々と眠ることが出来る。むしろ、広すぎて落ち着かないほどだ。

 敦也はここで寝ないと言っていたし、どうせならば巨大なぬいぐるみでも置いてみようか……と、一瞬だけ考える。

 けど、実家からぬいぐるみだけ運搬するのも面倒なので、その考えは消した。

 ベッドの側にかけてある上着を羽織り、芽惟はカーテンを開ける。朝日が眩しい。むしろ、日当たり良好なのか、今までよりもずっと眩しく感じる。

「……なんか、目覚めだけはすっきりとしそうね」

 それは、純粋にいいことなのかもしれない。

 そんなことを考えつつ、芽惟はリビングに向かう。時計の針は午前五時半を指している。敦也の起床時間は聞いていないので、まだ寝ているか、はたまた起きているか。そこは定かじゃない。

 ただ、わかることは。……彼は芽惟に負けず劣らずの仕事人間だということくらいだろうか。

< 37 / 49 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop