仮面夫婦を望んだ冷徹な若社長は妻にだけ惚けるような愛を注ぐ。【逃亡不可避な溺愛シリーズ1】
(……へたくそな料理)

 メッセージに添付されていたのは、お世辞にも上手とは言えない料理だった。

 父によれば、これは父が作ったものらしい。

 多分芽惟がいなくても大丈夫……と伝えるつもりなのだろうが、これでは逆に心配になってしまう。

(まぁ、私が余計な口出しをするべきじゃないわね)

 心配事を連ねるのもアリだとは思う。だが、どれだけ小言をぶつけても芽惟があの家に戻る可能性は低い。

 だから、それとないアドバイスのメッセージを送った。すぐに返信が来る。

 アドバイスのお礼。それから……芽惟はどうしているかという文章だった。

「こっちのことなんて心配しなくていいのに……」

 愛のない結婚ではあるが、彼が悪い人ではないことは芽惟にもよくわかる。

 でも、やはり娘を心配するのが親心というものだろう。そう思い、芽惟は適当に安心させるような文章を作って、送った。

「さて、買い物の準備準備っと……」

 そう呟いて立ち上がった。

「……今日は一人みたいだし、お昼ご飯も夕ご飯も適当にしようっと」

 敦也は苦労しない分の生活費をくれると言っている。多少は贅沢をすることだって可能なはず。

 が、芽惟はどうしてもそんな気分にはなれなかった。

「贅沢をするのは、彼の役に立っているって実感してから。評価されてからのご褒美!」

 今はまだなんの役にも立っていない。

 それなのに贅沢なんて出来やしない。まさに、働かざるもの食うべからずだ。

 そんなことを考えつつ、芽惟は部屋に鞄を取りに戻るのだった。
< 49 / 49 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

表紙を見る 表紙を閉じる
家族から疎まれた挙句、婚約者にも捨てられた私を助けてくれたのは――もさっとした地味な風貌の竜騎士さまでした!? 地味だけど、優しくて私を大切にしてくれる彼に心が惹かれていく。 しかも、彼はずっと私のことが好きだったと。 「だから、こういう風に一緒に過ごせて嬉しいんだ」 そう言ってくれる彼は、私の《唯一》になっていく。 そして、彼の本当の顔は、驚くほどのイケメンで!? ―― 隠れ美形のエリート竜騎士(次期公爵) ヴィリバルト・レームクール(27) × 家族にも婚約者にも捨てられた美形令嬢 メリーナ・スルピアネク(20) ―― 彼と私、それから彼の相棒(竜)と、極上の生活始めます! ▼掲載先→ベリーズカフェ、エブリスタ、アルファポリス
表紙を見る 表紙を閉じる
――身を引くつもりが、独占欲強め(らしい)幼馴染に囲い込まれてしまいました。 *:.,.:*:.,.:*:.,.:*:.,.:*:.,.:*: 社交界で人気の高い貴公子の幼馴染(将来有望な騎士) アルス・サージェント(20) × 表情が顔に出ない『鉄仮面令嬢』 イリュア・スウェイト(19) *:.,.:*:.,.:*:.,.:*:.,.:*:.,.:*: すれ違う幼馴染の執着系ラブファンタジー
表紙を見る 表紙を閉じる
――ロザリア・ルシエンテス、21歳。本日、恋人に振られました。 *:.,.:*:.,.:*:.,.:*:.,.:*:.,.:*:.,.:*:.,.:* すっとぼけ天然不器用騎士 アシュリー・エインズワース(23) × 恋人にフラれた仕事第一の魔法使い ロザリア・ルシエンテス(21) *:.,.:*:.,.:*:.,.:*:.,.:*:.,.:*:.,.:*:.,.:* 「俺はロザリアのことを誰よりも愛しています」 「だから、俺の恋人になって」 強いけど、ちょっとお世話が焼ける年上騎士さん。 傷ついた心を癒してもらううちに――新しい恋に発展しますか? ▼掲載先→エブリスタ、ベリーズカフェ

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop