アラフィフママを溺愛するのは植物男子でした
 少し、安直すぎただろうか……? などと思いながら彼の顔を見ると、顔を真っ赤にして、どうやら感激しているようだった。

「……ありがとうございます。素敵な名前ですね」
 
 さっきからドキドキしっぱなしで気づかなかったけど、霧吹きの水が減っていた。
 どうやら、自分で水をかけたようだ。
 私も、ミノが癒してくれたとはいえ空腹には耐えられなかったようでキュゥとお腹が鳴ってしまい、お互い顔がほころんだ。

「ご飯食べてくるわね。ついでに水も換えてくる」
「お願いします」

 寝室を出て、私はミノに聞こえないように大きなため息をついた。
 “癒し”てくれるのは、単純に嬉しい。疲れが取れるのも助かる。
 ……でも、その方法が、困る。

 夫を亡くしてから、私は一人で生きていくって決めたの。
 依も自慢できる娘に育てたつもりだし、自分も仕事で充実した日々を送って、恥じない人生を送ってきたつもり。もちろんこれからも。
 だから、ああいうのは本当に、本当に……。

 あああああっ!!
 思い出して、また動悸がしてきたので回想を振り払った。

 これは……早くも(より)に相談案件かもしれない……。
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