アラフィフママを溺愛するのは植物男子でした
 最近、すこぶる調子がいい。
 整体に行こうかと思っていたほどの肩こりがなくなり、今日も仕事が捗る。

 あれから数日、私はミノに「首から上以外に触れることを禁止」として、そのまま寝室にいてもらっている。
 悲しいかな、やっぱりミノの癒しの力はすごいのだ。
 そこにいるだけでいい香りがして安眠だし、寝ている間にお肌と髪はツヤツヤだし、安眠のおかげで目覚めもバッチリなのだ。
 自我や知能はあるけど、私を主人と思ってくれているので、嫌なことをしないのは本当に助かる。
 ……しかし、問題はまだあった。

「楠木さん、そういえば、例のプロジェクト(・・・・・・)、全然連絡ありませんけど……」

 そう、郡山(こおりやま)くんにまだ言えていないのだった。
 
「あ、あーっ、あれ! えぇっと……」

 作業していた手を止めて立ち上がり、誰にも聞かれないように誤魔化しながらフロアの隅へ移動する。

 枯れてしまったということにしておく? いや、嘘はつきたくない。
 つきたくないけど、どう説明すれば!? もう、泣きたい。
 亡くなった夫に似た植物が生えてきましたって?
 言 い づ ら い !!

 えぇい、腹を括ろう!

「課長……あの。週末、家に来ませんか……?」
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