アラフィフママを溺愛するのは植物男子でした
 とかになったらどうしよう!?
 とにかく、この作業を終わらせたら販売促進部へ行ってみよう。

「チーフ、ウェブ用データのチェックお願いします」
「はーい!」

 郡山くんのところへ行きたいのに、仕事が終わらなーい!

 結局、今日一日郡山くんとは会えなかった。
 昼休みも探したけど姿は見えず、時間を見つけて販促部へ行っても営業部と一緒に外回りに行っていたり。挙げ句そのまま直帰らしかった。
 メッセージも未読だし、完全に避けられているようだ。
 
 帰宅して、今日も一人寂しく夕飯を済ませて、午後十一時過ぎには寝室へ入った。
 ベッドの横の棚に置かれた霧吹きを見て、ミノのことを思う。
 郡山くん、ミノを植木鉢ごと持って行ったけど、霧吹きは持って行かなかったのよね。
 ちゃんと、お水もらえてるのかな……。
 そろそろ、植物用栄養剤もあげなきゃって、思ってたんだけど……。

 これだけ伝えておこうと、メッセージを送った。
『お水は、霧吹きで朝と晩に。そろそろ栄養剤も必要です』

「……」

 送信ボタンを押した途端に、ちょっと切なくなった。
 いけない、ミノがいなくてもしっかりしなきゃ。
 きっと寝不足で心が弱っているだけよ。
 眠れば良くなる、うん!
 
 そう自分に言い聞かせて、今日は早めに就寝した。



 それから数日、寝不足は取れたけどミノがいないせいか、疲労は溜まっていくばかりだった。
 もうダメだ。
 メッセージは未読&既読スルーだし、郡山くんに直談判しに行こう!
 今日こそ販促部にいますように! と早歩きで廊下を進んでいく。
「いた……!」と、扉のガラスから覗き込んで姿を確認した。

「失礼します!」

 私が業務上ここへ来ることは滅多にないためか、周りの視線が集まる。
 もうそんなことは気にしていられない。
 いえ、そんなことを気にする年齢ではないのよ!

「郡山課長! 例のもの、返してくださいっ!」

 ようやく捕まえたと、私はデスクを目一杯叩いた。
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