アラフィフママを溺愛するのは植物男子でした
 夜、私と航くんは、新しく購入したセミダブルベッドで寝ている。
 ここは、娘の依が使っていた部屋だ。依に許可をもらい寝室にさせてもらった。
 ミノは、隣の主寝室にいてもらっている。

 そう、ミノを動かさなくてもいいように「寝室を二つ用意」したのだ。
 今日は私と航くんが一緒に寝る日。
 明日は、私が主寝室で寝てミノに癒しをもらう日。
 そしてその次は、主寝室でミノを挟んで三人で寝る日。

 主寝室にはシングルベッドを二つ置いて、ミノを挟むように置いている。そうすることによって、私も航くんも寝ている間にミノの癒しの力を得ることができる。

 その説明を受けた時、私はさすがに驚愕した──。

「ちょっと待って。それだと、私が二股かけてる女みたいになっちゃうんだけど!?」
「大丈夫です。俺と航さんの利害は一致しているんで」
「それに、ミノは植物だから浮気になりませんよ」

 えっ、納得してないの、私だけ!?

 ──という風に航くんとミノに押された時は、どうなることかと思ったけど……。
 たまにこうして誰かの温もりを感じながら寝るのも、悪くないなぁと思い始めている。
 布団の中で、航くんとくの字に並んで、背中からそっと抱きしめられる。
 これだけで、充分愛情を感じられた。

「せんぱ……結衣子」
「なに?」
「僕は昔、異性を抱きしめることもできなかったんだ」
「そうなんだ……」

 航くんは、結婚してから呼び捨て、タメ口になった。

「だから、結衣子が初めて」
「そ、そうなん……だ……」
< 49 / 54 >

この作品をシェア

pagetop