喫茶店の悪魔
「てかなんで傘もささず雨の中にいたわけ」
「……バイト帰りに傘を忘れてしまって。」
「へぇー、女子なのに折り畳み傘も持ってないの?それともドジ?」
「……うるさいです。」
は?なんだこいつ。差別とか考えられてる中で女子なのにとかよく言えるものだ。
っていうか絶対にこの金髪野郎だって、折り畳み傘を持っていたりしてないはずだし。
「でも、それで熱あるのに働いて傘差さずに帰るとかそりゃ倒れる。朝だってなんか体が重かったりしただろ」
「…はい。十分に反省はしています。」
まず、しんどいのに朝体温を測らなかったことがいけなかった。それにそれでお客さんに風邪が移っていたりしたらどうするんだ。
…という反省は十分にした。
「雨の中、貞子みたいに長い髪下ろしてびちょびちょで彷徨ってるみたいだったから、なんか失恋でもしたかと思ったわ」
「…無理もないかもしれないです。でも失恋はないですね。なんで失恋なんですか?まず失恋とか恋愛とか意味がわかんないので。」
「ふーん?」
なんだか頭がズキズキと痛くなってきた。思わず自分の頭を抱え込む。