喫茶店の悪魔
「…っ痛…」
「あ、大丈夫?一瞬忘れてたそっか熱あるんだもんな。話したりしてごめん」
「あ、はい…、こちらこそすみません。」
小さく頭を下げて体を横にさせる。
「あ、俺は出掛けるから」
「仕事ですか…?」
重い上半身を起き上がらせてまで、気になってしまった。仕事をしてる金髪さんが想像出来なさすぎる。
「は?いやそんな驚く?俺は22の大人だし。ニートとでも思ってたのかよおい」
「あ、いや……、ちなみに大学生とかですか?お仕事、ですか?」
「なんだろーね」
ふっと金髪さんは怪しく笑ったので、「絶対水商売ですね」と小さく呟く。
が、金髪さんの耳には聞こえていたようだ。
「違うわバカ。水商売て」
「違いますか。」
「んじゃおやすみ」
その言葉を聞いて、静かに目を瞑る。
うるさい蒼や蓮たちがいるからいつも静かに寝ることができなかった。
でも、この静かさは本当に久しぶりだ。
金髪さんとこんなに話してしまったから、何だか気まずさを感じてしまう。
うるさいのも嫌で、静かなのも嫌って私はどんだけ勝手な奴でどういうことなんだろう。
自分のことなのに、意味がわからなかった。