喫茶店の悪魔
「おかえりなさい」
おかえりなんて言葉を言ったのは、小学生ぶりかもしれない。
職場に行くために着替えたのか、服装が変わっている。足がスラッとしていて、黒いジーパンがとてもよく似合っている。
黒いリュックを背負った金髪さんの身長が高すぎるのか、低い天井だと感じてしまう。
私を見て、黒い目が少し大きくなる。
「?ただいま。どしたの」
「あの。……え、あっ」
―すると、前に倒れかけてしまった。
私が抱きついたかのようになってしまう。
意外に筋肉質な体に受けとめられる。反射的に金髪さんから一定の距離を離れる。
「えっなになにそんなに寂しかったの?抱きつくとか」
「いえ、絶対に違います。ごめんなさい。…クラっとなって」
「そんなんだったら寝ときなって」
はぁーというため息を吐いて、金髪さんはリビングの扉のドアノブを握る。