喫茶店の悪魔
「ほら変なこと言わないで。お母さんを困らせないでよ。倒れた時も心配して−」
「やめて!!!」
耐えきれなくなり、初めてこんなにも大きな声を出す。私の声を聞いた途端、お母さんのシワがより更に怒りの表情に変わる。
今まで何年も我慢してきたものを出すことはこんなに怖いのだ。
―それでも……
あの金髪さんに笑われてしまうから。また、笑えるわとか言われるから。
今、言わなきゃ明日も未来も変わらない。
今しかないんだ。逃げちゃ、だめ。
「やめて?なによやめてって」
「私、あなたをお母さんと思ってないから。」
「……は?」
「死んじゃったほんとのお父さんと、その隣にいたお母さんがほんとの親だ。あんな今一緒に住んでる男の人はお父さんじゃない。その隣りにいるあなたもお母さんじゃない。だから弟たちも違う。ただの、他人だ。」
「他人…?」
「私は家族じゃない!幸せだった、あの家族3人で生きていきたかった!お母さんはお父さんを、愛してなかったんでしょ?だからすぐに再婚して子供生んだんだよね?幸せだったの、私だけだった。全部偽物だったみたい」
「澪…違っ…」
「!ただの部外者なの!!!入らない者なんだよ!!あの階段に飾る絵も、お母さんや弟たちと話す時も辛かった!!私は辛かった」
大声で言えた。その快感が気持ちいい。