喫茶店の悪魔


「大丈夫?」

「もう、大丈夫です。」


心配そうな顔をする金髪さんを前に、これだけは今、自信を持って言えたのだ。

熱が出てしまった時、精神的に辛かった時のように、大丈夫の嘘はつかない。


「それはよかった」


私を見て安心したのかニコッと笑ってくれた。優しくて、どんな時でも本当に安心してしまうような笑顔ができる、本当に素敵な人だ。

私は切り替えるように金髪さんに言った。


「あの実は今、家を失くして生きていけない状況なんです。」

「…は?」


流石に目を丸くして固まってしまっている。


「さっき親に「出ていきます」って言ってきたんですけど」

「待っ、待て待て。」

「はい」


しばらく頭を下を向けてから、顔を上げた。


「言いたいこと言えたってそれのこと?」

「はい」

「ってことは、家出した、ってこと?」

「はい」

「え、えええ!?まじ?な、なんで住むとこ失くしてそんな冷静に普通に言えんの」

「そうですか?結構焦っていますけど」

「心と顔、連携してないのかよやっばー」


苦笑いを浮かべる金髪さんに対し、私は下を向いてしまう。

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