喫茶店の悪魔

離れようかと迷ったが、半泣きみたいな顔を見られるなんてごめんだ。

それにまだ、この優しい温かさがほしい。

いや、温かさがほしい?何言ってんだ私。


「澪?」

「……あの、言いたいこと言えたんです。」

「おおそっか。おつかれ」


説明も何もしていないのに、察して褒めてくれる金髪さんが本当に優しいと思う。


「……あなたが言う通り未来は、変わったんでしょうか…」


気づけば声が震えてしまっている私に、金髪さんは少し黙ってから優しく言った。


「うん絶対変わったよ。何があったのかよくわかんないけど、頑張ったんだな。」

「はい、よかった………」

「うん、えらいえらい。また、話聞かせてよ」

「はい…!」


なんで、こんなに私は心の内をいつしか話せるようになったんだろう。嬉しそうにしてるんだろう。意味わかんないよほんと。


「ごめんなさい、もう離れます。」

「別にまだいいんだよ?」

「いや、もういいです。」


ゆっくりと離れる。金髪さんの顔を見ることが出来ない。

抱きついちゃったんだ私…

前は風邪で倒れそうになってしまって抱きついちゃったりしたけど、これは完全に自分の意思だ。

男の人嫌いなのに、なんで思わずとか抱きつきたくなっちゃったの?

絶対相手だって嫌だったよな…急にとか…

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