Fortunate Link―ツキの守り手―
第5話:奪われたファーストキス






白銀の長い髪が風にたなびく。

その銀髪の女性は俺の手を引きながら前を行く。

俺はその女の人の白魚のような手をぎゅっと握りながら、必死にその人の後をついていた。

たまに躓きそうになると、彼女は厳しい声で俺を叱咤した。


『速く!逃げるのよ!』


(……逃げる…)


俺は疑問に思って、その人に問いかける。


『……なんで逃げなくちゃいけないの?』


するとその人は俺の方を振り返った。

その人の目は、不思議な光を放つ黄金色をしていた。


『――あなたが生きるためよ。
だから足を止めては駄目』


『生きるため…』


その言葉は不思議と心に響き、体が奮い立った。


『そうよ。
今は生きるために逃げるの。

逃げて、そして辿り着くべき場所に着いたら――』


冷たく白い手が、俺の手を優しく包むようにもう一度掴んだ。


『――あなたに戦い方を教えてあげる』





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