Fortunate Link―ツキの守り手―






(…やはりアカツキは取り扱い危険な猛獣だ)

――そう再確認した日の翌朝。


「シュン!」

玄関から母さんの呼ぶ声。


うるさいなぁと思いつつ、グビグビ牛乳を飲んでいた。


「アカツキちゃんが来てるわよ」

「……ぶほっ」


鼻から牛乳とまでいかなかったが、見事にむせた。

アカツキと朝一緒に登校なんてしたことが無い。


鞄を担いで、慌てて玄関の前へと飛び出る。

そこにはいつもと同じ極悪な面構えのアカツキ。(朝だからとか関係ない)


「今、物凄く失礼な事思ったろ?」

アカツキが言う。


…何で分かった?エスパーか?


「どうして…」

「どうしてもクソもあるか」

彼女の目が剣呑に光る。


…どーしよ。今から締め上げられるのか?


けれど予想に反して、アカツキはこんなことを言った。


「守るって言ったろ?」

「…へ?」


思わず間抜けに訊き返してしまう。


「あれだけの大口叩いたんだ。
今日から一分の隙無く守って貰うからな」

強引に引っ張っていかれる。

「ちょっ」

横目でちらりと彼女の方を見ると、
なぜか子供のような悪戯げで楽しげな瞳をしていて。

不覚にもドキリとしてしまった。


……って、それよりも


「…痛い痛い!腕離せっ!」

抗議の声も空しく、ずりずりと引き摺っていかれる。



目に映る空は憎々しいほどに青く、俺達を笑うかのように見下ろしている。

一日の始まりを告げる風が肩越しに擦り抜けていった。


何やら波乱な毎日が始まりそうな予感とともに。




☆::::第2話へ続く:::::☆


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