Fortunate Link―ツキの守り手―


「……質問ん?!」

「はい♪」と笑顔で頷く。
その笑顔だけを見ればすごく可愛い。

その顔に裏が無ければ。

「でわーお聞きします!」

相手はこっちの了承など確認せず推し進める。
どうして俺の周りの女子はこうも人の意見を聞かない奴ばかりなのだろう。

そんな俺の悩みなど勿論察するわけも無く、彼女はその質問を口にした。


「――今の、あなたにとっての一番に守るべきものって何ですか?」


「……え?」

その唐突な問いかけに面食らった。

「……守るべきもん?」

鸚鵡返しに訊き返す。

「そうです」

頷く彼女は変わらず笑ったままだったが、
その取り巻く雰囲気が少し変わった気がした。

「忍たるもの、いつの時代もその身に任を負うて生きていくが常。
あなたの背負う命(メイ)は何を守ることですか?」

そういえば、こいつも俺と同業者だっけ。

だけど…、

「何でそんなこと…」

……答えなきゃいけないんだ、という言葉は声にならなかった。


気づけば、有無を言わさぬ双眸がこちらを見据えていた。
言葉以上の威圧感を持って。


「――答えなさい」

静かでありながら、耳に重たい余韻を残す。


さっきまでのあの軽い笑顔は一体どこに消えたのか。
まるで別人の顔だった。

その瞳が一瞬だけ金色に妖しく光った気がしてどきりとした。

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