Fortunate Link―ツキの守り手―




支度をして、昨日と同じくアカツキと一緒に家を出た。

忘れず、木刀を入れた竹刀袋をしっかりと担ぐ。

学校に要注意人物が二人も居ると思うと、否が応にも気が引き締まる。

隣を歩くアカツキを見ると、肩に相変わらず九官鳥の九兵衛が止まっていた。

「頼むぞ」という気持ちを込めてそいつを見ていると、アカツキと視線が合った。

「――シュン」

「な、なんだ?」

昨日思いっきり殴られたのもあって、ちょっと警戒しながら訊き返す。

「…お前、何でそれをそこに付けている?」

と、アカツキが指差したのは俺の背負う竹刀袋――にぶら下がっている四つ葉のクローバーのキーホルダーだった。

それは以前アカツキからもらった誕生日プレゼントなるもの。

「…いやぁ、まぁ…、どこに付けようか迷ったんだが、ここが一番しっくりくるかな、と」

「馬鹿か。私のと思いっきり被ってるだろうが!」

とアカツキが自分の持つ竹刀袋を指差す。
そこには同じ位置に同じキーホルダー。

「被ったらダメなのか?」

「……う…。
…だって、お揃いのものだと一目でわかって恥ずかしいだろうが!」

アカツキは顔を真っ赤にして怒鳴る。
そこまで恥ずかしいなら、何でお揃いの物をくれたのか甚だ疑問だが、朝からこれ以上怒らせても痛い目に遭うだけだと経験が知っている。

「分かったよ…」

と俺がキーホルダーを外そうとすると、アカツキがその手を制してきた。

「…まぁいい…。確かにそこが一番しっくりしてるかもしれん…」

アカツキは咳払いをし、「それはそうと…」と話を変えた。


「昨日のあの女のこと、どう思う?」

「あの女って?」

「水波雅(ミツハミヤビ)とかいう慇懃無礼なクソ女だよ!」

嫌悪感たっぷりなその言い方から、アカツキの中での第一印象最悪だったんだなということが窺い知れる。

「…ああ。
確か、白石さんの姉とかいう?」

そう言いながら、どうにも違和感を感じてしまう自分がいた。

確かに昨日襲ってきた女――水波雅は白石さんとよく似ていたのだが、姉妹と言われてもなぜかピンとこない。

しかしどうしてそう感じてしまうのか、はっきりとした理由は自分でも分からない。


「…あの女…」

アカツキがぽつりと口にした。

「……本当に白石星羅の姉なんだろうか」

そう俺に訊いてきた。

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