Fortunate Link―ツキの守り手―
「……え?」
俺は戸惑った。
まさかアカツキも同じことを考えているとは思わなかったからだ。
とはいえ、なぜアカツキもそう考えるのかが気になる。
「顔もそっくりだし、何より本人がそう言ってたろ」
「………」
アカツキは何も言わずに俺の顔を見つめてきた。
「……何だよ?」
「あの女、お前のことを”あの子”て言ってた…」
その言葉に俺は固まった。
アカツキは顔を顰めながらも続ける。
「なんかよくわかんねーけど、あいつがお前のことを話す時、妙になれなれしかったというか…。
もしかしてお前の知り合いなんじゃねーか、とちょっと思っちまった…」
「………」
絶句する。
白石さんの姉と名乗られてもしっくりこなかった理由…。
それはもしかしてアカツキの鋭い指摘の通りなのか…。
いや、そんな、まさか…。
「…何言ってんだよ」
よぎった予感を振り払うように、否定した。
「…あんな…いきなり殺しかけてくる知り合いがいてたまるか」
「………」
アカツキは反駁してこず、静かに息を吐いた。
「……そりゃそうだよな」
納得したように頷き、それ以上何かを言ってくることはなかった。
俺は学校に着くまでの間ずっと、水波雅のこととアカツキの言葉について考え続けていた。