Fortunate Link―ツキの守り手―


「この格好のほうがバレねぇんじゃねーの?」

アカツキがそんなことを言ってきた。

「無理だって」

きっぱりと返す。

思えば今日この格好で居てからにろくな目に遭ってない。はっきり無理だ。

アカツキはシャツの襟元に手を掛けながら

「面倒くせぇな」

ぼそりと呟く。

面倒くさがってどうするよ。

「だったらもうずっとそのままで居ろ」

いっそそっちの方が似合ってる気がする。
まぁ元々の性格がアレだからな。

「おい」

いきなりドガスッと後頭部を拳で殴られた。

「……いっつぅー」

呻きながら叩かれた箇所をさする。
本当に手加減ってものを知らない。理不尽な暴力反対。

「思ってる事が丸分かりなんだよ」

ムッとしながらアカツキが言う。

「え」

指摘されたその言葉にギクリと反応してしまう。

もろバレ…。

俺ってそんなに思ってることが顔に出てるのか。それともアカツキが鋭すぎるのか…。

「顔に出すぎなんだよ」

アカツキにずばりと言われてしまう。

(……そうですか)

残念ながら返す言葉も無い。

そういえばいっつも思ってる事がバレるから、もしやアカツキがエスパーなんじゃないかとも疑ってたんだが。

さすがに違ったか。


……気をつけないとな。まじで。



ガクリと肩を落とす、その向こうから、

ヒュゥゥゥゥン――と。

どこか頼りない花火の打ち上がる音が夜闇を切り裂いて響いた。









☆::::第14話へ続く:::::☆


< 405 / 573 >

この作品をシェア

pagetop