Fortunate Link―ツキの守り手―

視線が吸い寄せられるようにそこに釘付けになる。

「……うぬぅ」

期待を込めて、見つめる。

いて座。いて座がなかなか出て来ない。早く出て来い。

焦れて焦れて…。焦れるほどに、テンションはどんどん下がっていく。


そして期待はことごとく裏切られ…、

「ぬあーっ」と頭を抱える。

「最下位…」

がくり、と肩を落とす傍から、

「どうだっていいだろ。しょーもない」

アカツキの呆れ声が横から掛かる。


それでも俺はその運勢の内容まできっちりと読む。

「…今日は何をやっても丸っきり駄目でしょう」

何だか投げやりな内容だ。

「不運を打開するおまじない、……好きな人と愛を確かめ合う?」

頭にクエスチョンマークが浮かぶ。

どんなおまじないだ。

アカツキは鼻を鳴らす。

「くっだらねー」

確かに一般的に普通に見ればそうなのかもしれない。


…しかしながら。

占い真党、占い信者な俺は真剣にその内容を捉え、考える。

「……うーん。……好きな人」

好きな人って。


『――アカツキさんはあなたのことを好きですよ』

先日言われたあの言葉がまざまざとよみがえる。


突然湧いたような顔の火照りを感じ、軽く首を振る。


…いやいや。

何の根拠も無い。そんな言葉なんぞに惑わされんぞ。


「……そんな、好きだなんて」

「――ん?」

呟いたその言葉を耳ざとく聞きつけたアカツキがこちらを睨んでくる。

「てめぇ今何て言った?」

「え?いや?何も?」

慌てて、首を横に振り振り、そらとぼける。

肌に焼け付くような禍々しい空気を感じる。

何かいらぬことを言ってしまったかな…。

すると、アカツキの眼が夜行性動物のようにギラリと光を放ち、俺の襟首をむんずと掴んで捻り上げてきた。


「……おまえ、もしかして、そういう相手とかいるんじゃねぇだろうなっ」


ほぼ脅迫のような気迫を噴出させながら訊ねてきた。

< 410 / 573 >

この作品をシェア

pagetop