Fortunate Link―ツキの守り手―


「そう…。お姉さんが…」

星羅は思い馳せるように一度目を閉じた。
長い間そうしていた。

やがて、目を開け、蓮のほうを見て、

「ありがとう」

柔らかな声で礼を告げた。

「別に。
礼を言われるようなことやない」

蓮は素っ気なくそう言う。
星羅はそんな蓮を見て、ふっと笑った。

「ねぇ。あなたってさ。
お姉さんのこと、好きだった?」

「な、なんや。藪から棒に…」

星羅の唐突な質問に、狼狽える蓮。
星羅は笑ったまま続けた。

「最初あなたと初めて会ったとき、あなたはすごく懐かしいものを見る目で私を見てきた」

「まぁ、雅とあまりにそっくりやったからな。
双子やと聞いてたけど、びっくりしてしもただけや」

「でも…その目がね、なんか胸をぎゅっと鷲掴みにされるみたいに、切なくて…愛しいものを見る目だったから…。
私、わかっちゃったよ。
ああ、この人は、私にお姉さんを重ね合わせてるんだなって。お姉さんをすごく大事に思ってるんだなって…」

「な……」

蓮は少し顔を赤らめ、言葉を失う。

「お姉さんのことを大事に思ってくれて、ありがとう。
でもあまり後ろばかりを向いてたら駄目だよ。ちゃんと新しい恋もしてね。お姉さんが心配しちゃうから」

「な、何言うてんねん」

まだ顔の紅潮が消えない蓮に対し、

「私もこれからはもう後ろを振り返らない。前を向いて進んでいくから」

そう誓うように言った星羅は、何かを吹っ切ったように清々しい笑顔だった。


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