溺愛銃弾〜ベビーメタル・ソリッド~
ある日のお昼時。お義母さんが「無理はしなくていいの」と前置きして言う。

「今夜はお客があって、樹ちゃんも挨拶だけ陶史郎と一緒に顔を見せてちょうだい」

もちろん頷いた。普段は役に立てることがほとんどない。体調も悪くない。

当の陶史郎さんは、どうしても出かけないとダメらしく、ついさっき玉置さんに引き摺っていかれて留守。出かけ際に一幕あったのを思い返す。

『俺がいない間に樹に何かあったら、〇×△会は根絶やしにしてやる』

多分これから用事のある相手を名指して、冷酷に笑った陶史郎さん。呆れるのも慣れっこの玉置さん。

『姐さんがいれば問題ないでしょう。・・・いつまで樹さんの手を握ってるんです?時間に遅れます』

『陶史郎さん、早く行ったら早く帰ってこられる?』

思い付きを口にしたら顔付きが一変して、妖しい甘さを帯びた。

『そうだね。さっさと済ませて戻るから、イイ子で待ってなさい』

そのあと顔中にキスを降らせ始め、業を煮やした玉置さんが無理やり引き剥がして連れてったっけ。
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