溺愛銃弾〜ベビーメタル・ソリッド~
でも男の子を産まないと支倉組の、陶史郎さんの跡継ぎにならない。次もその次も女の子だったら。いくら陶史郎さんでも『もう女なんか飽きたよ』って、そっぽ向くかもしれない。

・・・ずっと端っこに引っかかってたから、陶史郎さんがお義父さんを怒ってるのをどう思えばいいのか、分からない。期待を裏切ったのは自分だ。

「樹、こっち見てごらん。また一人でイケナイこと考えてるね?」

いつの間にクッションを枕にした陶史郎さんの顔が同じ向きで、そこにあった。伸びてきた掌がやんわり髪を撫でてくれる。

「僕はお前の子供が欲しいだけで、いつ跡継ぎが欲しいなんて言ったの」

言ってない。けど。

「そんな下らないことで樹を悲しませるくらいなら、父さんごと今すぐ組を潰そうか」

まじまじと陶史郎さんを見つめた。

黒い微笑み、慈愛と無慈悲を混ぜ込んだ切れ長の眼差し。心の中に引っかかってたモノが、力尽くで陶史郎さんに放り投げられた。
< 7 / 10 >

この作品をシェア

pagetop