溺愛銃弾〜ベビーメタル・ソリッド~
ああ、そうなんだ。

陶史郎さんが言わないことは気にしなくていいんだ。

ちっとも大事なことじゃないから、言わないんだ。

女の子を産んでも陶史郎さんの奥さん失格じゃないんだ。

生まれてきてくれてありがとう、って赤ちゃんに言えるんだ。

なんだかほっとして、鼻の奥が痛くなって、目から水滴が落ちた。

「ごめん、違うよ・・・!怒ってるんじゃないよ、樹は俺を信じてると思ってたからつい、意地悪言ったんだよ?」

整った顔が慌てたようにこっちを覗きこむ。
どこか自嘲めいた笑い顔で。

「お前に嫌われたら死ぬよ」

陶史郎さんもまだまだ、…かな。一生嫌わない自信だけはあるのに。

小さく鼻をすすり上げ、旦那さまの髪をぎこちなく撫でながらクスリ。

「・・・大丈夫。永遠に長生きできるから」





FIN 

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