18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~

 キッチンからピーっとご飯の炊ける音がした。

 そういえば加賀さんが予約しておいてくれたんだ。

 意識がそっちへ向いたことで少し冷静になれた。


「あの、夕食を……」

「いや、いい」

 遥さんは短く返答して私の首にキスをした。


「やっ、やめ……」

「もっと早くこうしておけばよかった」

「え?」

 彼の吐息と唇の感触が首筋に当たってぞくぞくする。

 変な、感じがする。


「君が怖がるだろうから、ゆっくり進めるつもりだったのに」

「何、言ってるの?」

「こっちはもう我慢の限界だったんだよ」

「だ、って……遥さん、そんなこと言ってな……」

「言えるかよ」


 彼はめずらしく感情的な言葉を投げつけてきた。


「いい大人がそんなカッコ悪いこと言えるか」


 あれ……なんだか、遥さんが急に子供っぽく見えてきた。

 本当はほしいおもちゃがあるのに言い出せなくて、でも我慢できなくて感情的になってる、そんな子供みたいな……。


「いろは」

 彼は物憂げな表情で私の名前を口にした。

 どうして、そんなに泣きそうな顔をしているのだろう。

 こっちが泣きたいくらいなのに……。


 彼は私の頭を撫でながら頬にキスをして、何度も名前を呼んだ。


「いろは、いろは愛してる……」

「待っ、て……遥さ……」

 まだ、私の頭の中は混乱しているから、これ以上は彼を受け入れられない。


「いろは、好きだ」

 彼はそう言って、今度は私の唇にキスをした。


 抵抗なんかできなかった。

 だって、キスをされた瞬間、自分でも驚くほどすんなりと彼を受け入れてしまったから。



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