18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~

12、家政婦の心配

 加賀響子が秋月家の使用人として初めて訪れたのは、遥が中学生の頃である。

 最初に紹介されたとき、遥はとても礼儀正しい子で、さすが本家の長男跡取りであると感心したものだった。

 彼の未来は決まっていて、本人も忠実にその道を歩んでいるようだった。


 彼が14歳の誕生日のときのことだ。

 秋月家ではささやかなパーティが催された。

 親戚が集まって、30人程度の小規模な会食だった。


 遥は訪れたゲストからプレゼントを受けとり、笑顔で「ありがとうございます」と丁寧にお礼を言っていた。

 本当によくできたご子息だな、と響子は感心した。


 その数日後。

 両親が仕事関係で3日間ほど泊まりで遠方へ出かけていたときのことだ。

 彼女が庭掃除をしていたところ、もくもくと煙が上がっているのを見て火事かと思い、慌ててその場に駆けつけた。

 しかし、そこには遥がいて、彼は焚火をしていたのだった。

 彼女は声をかけた。


「坊ちゃん、火を扱うのは危険ですよ」


 すると遥は笑顔で「大丈夫だよ」と答えた。

 何を燃やしているのかと思い、じっと見ていた彼女は驚愕し、うっかり手に持っていた箒を落としてしまった。

 衝撃で、手が震えた。


「坊ちゃん? それ……みなさまにいただいたプレゼントではありませんか?」


 すると遥はまったく悪びれた様子もなく、むしろ満面の笑みで答えた。


「うん。必要ないから処分してるだけ」



< 148 / 463 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop