18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
「ひ、必要ないって……それは、プレゼント……」

「どれも俺の好みじゃない」

 平然とそんなことを言う遥に、響子は呆れた。そして不安になる。


「坊ちゃん、みなさまがお祝いにくださったものですよ。好みでなくても捨ててしまうのはどうかと思いますが」

 そう言うと、遥は急に真顔になってまっすぐ響子を見据えて言った。


「不必要なものを置いておくのは気分が悪いんだ。俺のそばにあっていいものは俺が認めたものだけ」


 それは、とても中学生の男の子とは思えないほどの雰囲気で、響子は狼狽えた。

 それとも今の中学生はこれほどクールなのだろうか。


「いただいた方に、失礼ではありませんか」

「もらった側がどうしようが勝手だろ? くれた人にはちゃんと礼を言ってるんだし」


 興味がないものをもらって嬉しくないことはわかる。

 百歩譲ってそれを捨ててしまう子もいるとしよう。

 しかし、遥は単純にそうしている子とはまるで違う雰囲気を醸し出していた。


「何も、燃やさなくても……」

 他に言う言葉が見つからず、響子は不安げにそれを口にした。

 すると遥は口もとに笑みを浮かべて言うのだ。


「こうすると気分がすっきりするんだよ。ほら、形が変わって最後には跡形もなく消えるだろ? 俺の目の前から全部消えていく。その過程を見るのがたまらなく面白くてさ」


 響子は背筋が凍りつくほどぞっとして言葉を失った。


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