18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~

13、それはまるで推し


「あー、いろは。こっちこっち!」

 待ち合わせ場所の近くに来ると小春がこちらに向かって手を振っていた。

「お待たせ」


 急いで駆けつけると同じ部の後輩で女子が3人、男子が2人いた。

 いつも制服だからそんなに気にしないけど、私服になるとみんな趣味が炸裂する。

 例えばアイドルっぽい可愛い服装の子もいれば、眼鏡をかけて地味な服装で大人しい子もいる。後者は主に男子だ。


「さて、あとはひとりなんだけど……あ、来たわ」


 小春の視線の先を追って、驚いた。

 伊吹くんがポケットに手を突っ込んで不愛想な顔でこちらに向かっていた。


「伊吹くんが来るなんて聞いてないよ」

「いいじゃない。部の交流会なんだから」


 そうだけど、小春は私が伊吹くんが苦手だって知ってるくせに、どうして呼んじゃうんだろう?

 だけど、小春の言うとおり、苦手だから呼ぶなっていうのも不公平な話だから仕方ないのかもしれない。


「さてと、まずはアニメ○トに行こー! それからみんなの行きたいとこまわるよー」

 張り切って声を上げる小春を先頭に後輩たちが続く。

 私はうしろで伊吹くんに挨拶をした。


「お、おはよう。伊吹くん」

 恐る恐る話しかけると彼は私に顔を向けることもなく、「おう」と短く返した。


 うう、やっぱり苦手だよ……。

 だいたい伊吹くん、アニメやアイドルに興味なさそうなのに、どうして来るんだろう?


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