18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~

『絢とは……』

 遥さんがゆっくりと話し出して、私は無駄に目を見開いてその続きを聞いた。


『特別な関係』


 突如、私の目の前に真っ赤な薔薇が咲き乱れた。

 それも、少女漫画みたいなきらきら描写が満載で、それを背景にふたりの美麗な男が立っているのだ。


 それも、お互いに、見つめ合って!

 そう。まさに、ショーマとリューセイの美しき愛の物語である。


【俺とお前は特別な関係だ。わかるよな? 絢】

【遥、駄目だ。僕たちはそんな……!】

【絢、俺から逃げられると思うなよ】


 ベッドに押し倒される絢。

 彼を見下ろして笑みを浮かべる遥。


【やめろ、遥。そんな……あっ……!】

 ぱたり。


『……いろは? おーい、いろは』

 完全に別次元に飛んでいた私は何度か呼びかけられて「ふえ!?」とすっとんきょうな返事をした。


「は、遥さん……長門先生と、そういう仲だったなんて……」

『そういう仲? 君は何を想像したの? まあ、だいたい予想はつくけど』

 遥さんは電話の向こうでバカにしたように笑っている。


 騙された……!


「ひどいよ! いつも私のことをからかって」

『ごめん、君があまりにも素直だからつい。安心して。絢とはある種の信頼関係で成り立つものであって愛ではないから』


 ますますよくわからない言い方だなあと思う。

 でも、愛のある関係じゃなくてよかったと、私は今すごくほっとしている。


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