18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~

16、プロポーズの相手は?


 たまに、昔の夢を見たりする。

 幼稚園の頃は母がたくさん絵本を読んでくれたから、私はよく近所の友達とお姫さまごっこなんかしたりした。

 特にシンデレラが好きで、ガラスの靴に憧れていた。


 本物のガラスの靴が履きたいと思って、母におねだりしたこともある。

 そこで母は私を連れて写真スタジオに行き、ふわっとしたドレスを借りて、ガラスじゃないけどそれっぽい靴を履かせてくれて、私の写真をたくさん撮ってもらった。


 いつか、王子さまに出会って、ガラスの靴を履いて、結婚するのだろうと本気で思っていた。

 今思えば、笑い話。

 私は結婚が何かまったく理解もしていなくて、ただ綺麗なドレスを着てお城の中で王子さまと幸せに暮らすのだと思っていた。

 最近は、そんな夢を見たら私が遠くにいる小さな私にこんなことを言っている。


「結婚ってそんな夢みたいなものじゃないよ」

 でもね、小さな私は振り向いてこう言うんだ。


「いろは、おにいちゃんと、けっこんする!」


 ハッとして目が覚めた。

 私は今、何を言ったのだろう?


 目線の先には見慣れた天井。

 そして、視線をずらすとあまりにもよく知った部屋のインテリアだ。

 そうだ。私は今、実家に帰っているのだ。それを自覚すると妙に安堵した。

 けれど、胸の鼓動はどくどくと鳴り続ける。


 最後のセリフ、誰に言ったんだっけ?


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