18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~

23、彼の嫉妬


 さっきから、遥さんが黙り込んでいる。

 別に喧嘩したわけじゃないし、私が何かまずいことを言ったとは思えないし、なぜだろうと思う。


 私たちは観覧車に乗り、お互いに向かい合って座っている。

 だけど、会話をすることもなく、しんと静まって非常に気まずい。


 なんで!?


 遥さんを見ると、彼は足を組んで外の景色に目をやっている。

 私のほうを見ようともしない。


 どうして、そんなに不機嫌なんだろう?


 観覧車から見える景色はちょうど夕方に差しかかっていることもあり、空は赤くなりつつある。

 せっかく楽しいデートだったのに、最後にこんな気まずい空気は嫌だなあと思った。

 帰るまでにはいつもみたいな空気に戻したい。


「あの、遥さん」

 話しかけると彼は真顔で「何?」と返事をした。


 ううう、怖い……。

 久しぶりにダークな遥さんが降臨している。


「えっと、もしかして、体調悪い?」

「いや、別に」

 あっさりと短く返された。


「じゃあ、機嫌が悪いの?」

 彼はそれには返答せず、ただじっと私を見た。


「えっ……え? 遥さん?」

 狼狽えていると、彼は真顔から、やがて満面の笑みに変化した。


「なんでもないよ、いろは」


 うそだー。めっちゃ不機嫌オーラが出てるよ!!!


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