18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~

28、傷心の者たち


 私立葉子二羽学園。

 中等部と高等部が隣接しており、自由に行き来できるようになっている。

 長門絢貴はそこで養護教諭として働いている。


 彼はひっそりと、ある女子生徒を写真に収めていた。

 秋月いろは。

 写真を撮るたびに、絢は呆れぎみに苦笑した。


 こんな頭の悪そうな子供のどこがそんなにいいのか、絢には理解できなかった。


 友人の遥は週末に自宅を訪れた。

 とは言え、そこは絢の自宅ではなく、遥のマンションである。

 彼はその一室を借りていた。


 週末はその部屋で、ふたりで酒を飲むことが、絢にとって最高のひとときだった。


「絢、ありがとう。いつも感謝してるよ」

 遥はそう言って嬉しそうに写真のデータを受けとるのだ。

 そして絢の部屋のパソコンを使って写真を眺めては、にやにやしている。

 絢はその様子を見るとイライラした。


「僕にはその子の魅力がまったくわからないよ。どうしてハルはその子に執着するの?」

 それを訊くと遥はいつも同じ返答をする。

「それはお前と一緒だよ」


< 335 / 463 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop