18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~

 私は胸が熱くなって言葉が出てこなかった。

 しんと静まった室内で、由希ちゃんがおもむろに声を発した。


「長門先生、いつからいろはの味方になってくれたの?」

 その言葉に私は思わず長門先生の顔を見つめた。

 しかし、彼は素っ気なく答える。


「別に味方じゃない。今でも憎たらしいと思ってるし」

「うっ……」

 やっぱり嫌われているままだった。


「でも、ハルの幸せに必要なのは僕じゃないから」

 そう言ってわずかに笑みを浮かべる彼の姿に、また胸が熱くなった。


「ありがとうございます。長門先生」

「別に礼を言われるようなことじゃない」


 長門先生はくるりと背中を向けて、デスクに向かって腰を下ろした。

 その後ろ姿がなんだかキラキラして見えた。

 そのことを口にする勇気はないけど、代わりに由希ちゃんが言った。


「長門先生、なんか雰囲気変わりました? 妙に優しいというか、丸くなったというか……」

「あなたの僕に対する印象ってそんなに悪いんですか。まあ、否定しないけど」


 長門先生はデスクに向かったまま、ノートを開いて作業を続ける。

 由希ちゃんは思いついたように笑顔で訊ねた。


「もしかして、恋人でもできたんじゃ?」

 長門先生は振り向いて、半眼で由希ちゃんを見つめた。


「間宮先生、暇なんですか? さっさと戻って自分の仕事をしたら?」

 由希ちゃんは肩をすくめた。


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