3次元の王子様は元同級生を惚れさせたい
ここにも〝俺〟


あそこにも〝俺〟


今では、暮らしの至る所に〝俺〟がいる。


街中に俺の広告があり、映像が流れていて、店に入れば俺たちのグループの曲がかかっている。


テレビをつければドラマにCM、バラエティ番組。本屋に行けば、毎月何かしらの雑誌の表紙を飾っている。


マネージャーの車で街を走っている今だって、隣を走るバスには俺が広告塔をしている飲料メーカーの写真がラッピングされていた。


正直今でもこれが現実なのか信じられない時がある。


ただ、有名になるというのも考えもので、その分代償も大きい。


まず、プライベートで気軽に出掛けづらくなった。


夜にフラっとダル着でコンビニに行くことさえもアイドルという立場上気が咎めることがある。 


単に俺だけの問題ならいいのだが、もし俺のイメージが下がれば、グループのメンバーにも迷惑をかけるし、その影響は俺に投資した企業にも及ぶ。


中村瞬(なかむらしゅん)は1人の人間であると同時に、生きた商品なのだ。


当たり前が当たり前じゃなくなって、当たり前じゃなかったことが当たり前になる。


そんな感じ。
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