３次元の王子様は元同級生を惚れさせたい

「このまま家に送る感じでいいですか？」


「そうっすね。家でお願いします」


朝イチの雑誌撮影が終わり、今日は珍しくこの後仕事が入っていない。


まだ9:00だしこのままどこかへ出かけたいところだが、先日までドラマの撮影で休みなしだったから、今日は家でゆっくり過ごそう。


家に着くまでの間ひと眠りしようと目を閉じかけたその時、一軒の小さなカフェが目に入った。


店の名前は『sanatio』。


一体何語だろうか。


道路側に面したテイクアウト用の小窓からドリンクを渡しているのが見えたから、店は営業してそうだ。


せっかくだから、優雅にモーニングを食べるのも良いかもしれない。


平日だし、ここは渋谷の中心から少し離れているからそんなに人もいないだろう。


「吉田さん、ちょっと戻ってさっきのカフェ寄ってもらっていいですか？」


俺は運転してくれているマネージャーの吉田さんに声をかけた。


「じゃあ僕買ってきますよ！」


「いや、テイクアウトじゃなくて食べていきましょーよ。朝ごはん！」