【極上溺愛】エリート鬼上司は無垢な彼女のすべてを奪いたい
…
「ここって……」
フロアをぐるりと囲む窓ガラスに、中央に配置されたグランドピアノ。あたりを見回す私に賢人さんは優しく笑いかける。
「はじめてふたりで来た場所、だな」
連れてこられたのは地上百五十メートル、四十二階にあるフレンチレストラン。
ここで豪勢なフルコースをご馳走になったのはおよそ十ヶ月前だ。ランチの時間帯で、窓の外には抜けるような青空が広がっていた。
あのときはまだ賢人さんと付き合っていなかった。まさか恋人関係になるなんて夢にも思っていなかった頃だ。
少し奥まった窓際の席に案内され、景色に目を奪われる。眼下に広がるのは、あの日見た光景とはまったく異なる、星の瞬きに似た人々の営みだった。
外灯やビルの明かりが宝石のように光り、列をなした車のテールランプが黒い巨大な生き物の体内を流れる血潮みたいに街道を赤く流れていく。
地球って本当に丸いんだと思えるほど、地平線までが細かな光の粒で埋め尽くされていた。
「なつかしいな」
ぐるりと周囲を見渡して、賢人さんは私に視線を留める。
本当に、懐かしい。