【極上溺愛】エリート鬼上司は無垢な彼女のすべてを奪いたい
この場所で私は知ったのだ。鬼と呼ばれる彼――冴島賢人が、本当は心優しい男性なのだと。そして、そんな彼に惹かれ始めた。
だからここはいわば、始まりの場所だ。
クリスマス限定のフルコースは全部で九皿と盛りだくさんだった。
フルボトルのシャンパンまで用意されていて贅沢極まりない。
料理はどれもこれも旬の厳選食材が使われたシンプルかつ味わい深い逸品で、一口食べるたびに美味しすぎて吐息がこぼれた。
「最っ高に美味しい」
和牛サーロインの最後の一切れを口に運び噛みしめる。ここのところ食欲がなかったけれど、やっぱり美味しいものは幸福度に直結する。
体のみならず心にも栄養を行きわたらせて、胸に渦巻いていた不安を丸ごと包み込んでしまう。
頬を落としそうになっている私の正面で、賢人さんは穏やかに微笑んでいた。
クリスマスイヴにこのレストランを予約するのはきっと大変だったに違いない。そんなことはおくびにも出さず、彼は私のペースに合わせて食事を進めている。
だから油断していた。