【極上溺愛】エリート鬼上司は無垢な彼女のすべてを奪いたい
石畳になっている玄関口に目をやって驚く。そこには二十人くらいが行列を作っていた。
「わあ、すごい人気」
この列に並ぶとなると一時間くらいは待ちそうだな。と思っていたら、賢人さんは列を尻目に開け放たれた格子戸の入り口をくぐった。
板張りの床や木の梁がレトロな趣を醸すそこは、ロビーのように広い空間になっていた。もともとは本当に旅館だったのかもしれない。
行列は奥にある店舗入り口まで続いていて、入口脇には病院の待合室にあるような受付番号のモニターが置かれていた。
「あ、もうすぐだな」
賢人さんがポケットから紙片を取り出す。どうやら事前に整理券をもらってくれていたらしい。
ほどなくして番号が呼ばれ、私たちは窓のすぐ向こうに川と山の緑を臨める席に通された。
メニュー数が限られているせいか、料理は注文して五分も経たずに提供された。
お豆腐と湯葉刺しがセットになった御膳はひとり用の土鍋がぐつぐつ煮立って白い湯気を上げている。
「この豆腐うまいな。味が濃い」
「この湯葉刺しも美味しいです。口に入れたら溶けちゃう」