【極上溺愛】エリート鬼上司は無垢な彼女のすべてを奪いたい

 熱々の土鍋の中身は湯葉の卵とじだった。トロトロの湯葉が少し固めに炊かれたごはんによく絡む。息を吹きかけて一口食べるとカツオ出汁の香りが鼻から抜けて上品な旨味が口いっぱいに広がった。

「んー美味しい」

 思わず頬が緩む。『ほっこりする』という表現がぴったりの癒しの料理だと思った。

 都内の人気レストランのメニューみたいに華やかさやインパクトはないけれど、丁寧で優しい味わいが気持ちを温かくさせる。

 賢人さんも同じように感じたらしい。

 目が合うと嬉しそうに微笑んでくれた。

「たまにはこういう料理もいいな」

「そうですね!」

 食の趣味が合うってとても大事だ。特に食べることが大好きな私にとって、大切な人と食事をして美味しいねと笑い合える時間は何ものにも代えがたい。

 豪華なディナーや特別な料理じゃなくたっていい。日常の、ちょっと疲れてる日はお茶漬けなんかでも、一緒に食べて美味しいって笑えたらそれだけで十分に幸せだ。

 お腹が満たされたあとは荷物をコインロッカーに預け、バスで山間の神社に向かった。
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