【極上溺愛】エリート鬼上司は無垢な彼女のすべてを奪いたい
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「小松さん、お昼行かないのかい?」
パソコン画面に向かって一心不乱にキーを叩いていたら、斜め前から声を掛けられた。
はっとして顔を上げると江田部長と目が合う。自席で愛妻弁当を広げた部長が白髪交じりの眉を下げて時計を見やった。
「休憩時間なくなっちゃうけど、なにか急ぎの仕事?」
「いえ全然。ちょっと夢中になっちゃいました。お昼行ってきます」
お弁当箱を持ってリフレッシュスペースに向かうと、真凛がサンドウィッチにかぶりついた状態できょとんと目を瞬く。
「あれ、今からお昼? てっきり今日は外に行くのかと思ってた」
彼女とは大抵この場所で一緒に昼食を取るものの、示し合わせているわけではない。
だからお互い別々の人と外で食べることもあるけれど、やっぱり真凛と一緒だと無意識に気持ちが緩む。
「なにかあった?」
口端についたソースを丁寧におしぼりで拭いながら彼女が言う。長いまつ毛に覆われた目にそっと見つめられ、心臓が鳴った。
「なにかって?」
お弁当を広げながら取り繕うように笑うと、真凛は整った顔をほんの少し傾けた。