学校公認カップルの痴話喧嘩に遭遇してしまった。
なぜ私がそれを知ってるかって?
それは私が、西彩金のクラスメートにして、前の席だからだ。
だから必然的に目につくし、休み時間の度、彼氏が訪ねてくるから邪魔だったわ。
そんでもって現在進行形で、邪魔なのよ。
私の机に座っている、東銀雅が。
お陰で引き出し部分が彼の両脚で塞がれている。
自席に座る西彩金が机を叩く。
「もうっ!」
「かーわいいなぁ」
言葉が続かず頬を膨らませる西彩金を、東銀雅は小動物を見るような眼差しで見守る。
ハムスターのような愛らしさだもの。
つぶらな瞳が怒りを鎮める。
本人は怒っているつもりだろうが、どうにも周りはそうは見ない。
「そのかわいいってやめてよ! ボクだって男の子だもん!」
「え!?」
西彩金の衝撃告白に、思わず大声が出てしまった。