先輩の愛に溺れながらずっと
「ははっ、だって有名じゃん。」


佐原くんはクスッと笑って言った。


有名…………?
もしかして……


「それは、覚えが悪くて出来の悪い花咲やな、みたいな……?」


練習が始まる前もみんなの前でやらかしたことあったし、この前の練習でもみんなにバカって知られちゃったのかな………


本当のことだから否定できない………

「たまにそれもあるけど、違うよ。
1組には顔が可愛い、花咲 やなって子がいるって。」


グサッ。


言葉の刃が胸に突き刺さる。
やっぱりバカか。
ううっ!なんて、悲しい噂……
しかも、その可愛いってやつ間違ってるし……


落ち込んでいると



「あ、俺は別にバカだなんて思ってないよ。
可愛いとは思ってるけど。」

「別にお世辞はいいよ。バカなんて言われ慣れてるし。」

「お世辞じゃないんだけど………」


あっ、そういえば前に真葉が言ってた気がする。2組のクラスに学年1かっこいいって言われてる佐原 優斗がいるって。

確か誰に対しても優しいけど、女の子からの告白は断り続けてるって。


聞いた時はふーんってしか思わなかったけど……。


「佐原くんも有名じゃん。」

「へぇ〜、知ってるんだ。俺のこと。」


有名ですもんね。まあ私もさっき思い出しましたけど………

コクリと頷くと佐原くんは含みのある言い方をして言った。
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