無能者だからと離縁された私は、「野獣王」の生贄妻となりました~じつは無能ではない私。あらたな旦那様の「真実の声」が可愛すぎて幸せ満喫中。クズな元夫と義姉は絶対に許せないので破滅してもらいます~
(そうよね。どうせ生贄なんだし、悪いことはあってもいいことはない。ここはもう頭の中を真っ白にし、起こることを素直に受け入れよう。その方がきっとラクだから。下手に抵抗したり悲嘆に暮れる方が、よほど労力を使うから)

 いわゆるやけっぱち状態である。

 そのとき、騎馬兵が二人馬車に騎馬をよせてきた。

 まるでそれを空から見ていたかのように、タイミングよく月が雲の間からあらわれた。

 いままでが暗かったこともあり、突然降り注ぎ始めた月光がやけに眩しく感じられる。

 おもわず、目の前に掌をかざしていた。
< 23 / 375 >

この作品をシェア

pagetop