無能者だからと離縁された私は、「野獣王」の生贄妻となりました~じつは無能ではない私。あらたな旦那様の「真実の声」が可愛すぎて幸せ満喫中。クズな元夫と義姉は絶対に許せないので破滅してもらいます~
 特訓が終り、夕食も終わってから、キャロルとヴィクターにお願いしたいことがあるとこっそりささやき、ヴィクターの執務室で話をきいてもらった。

 長椅子にキャロルと並んで座り、ヴィクターは執務机の向こうにいる。

 その二人に必死に説明して訴えた。

 二人とも黙ってきいてくれた。

 そして、沈黙。

 室内に痛いほどの静寂が横たわる。窓の向こうは、遠くの篝火の淡い光が浮かんでいる。

 どちらかが口を開くのを待つ間、心臓はドキドキばくばくしていた。

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