無能者だからと離縁された私は、「野獣王」の生贄妻となりました~じつは無能ではない私。あらたな旦那様の「真実の声」が可愛すぎて幸せ満喫中。クズな元夫と義姉は絶対に許せないので破滅してもらいます~
(うわぁ……)

 彼は、眼前にいる。

 彼、つまり国王は、大きい。とにかく大きい。小柄なわたしとくらべたら、縦にも横にも大人と子どもほど差がある。

 ごつい顔は髭に覆われていて、体は筋肉隆々なのが将校服の上からでもよくわかる。

 彼とイヤというほど視線が合った。

 ごつい顔のわりには小さい目。そのつぶらな瞳は、ルビーと同じ色をしている。髭で表情はわからない。だけど、なんとなくお茶目な感じがする。
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