無能者だからと離縁された私は、「野獣王」の生贄妻となりました~じつは無能ではない私。あらたな旦那様の「真実の声」が可愛すぎて幸せ満喫中。クズな元夫と義姉は絶対に許せないので破滅してもらいます~

傷物レディ

 ひとしきりみんなで笑った後、なけなしの勇気を振り絞って口を開いた。

「あの、陛下。お願いがあります。陛下のおおよその事情はわかっているつもりです。一方的におしかけてきて申し訳なく思っています。じつは……」

 彼のルビー色の瞳を見つめつつ、一語一語気をつけながら口から出す。

 彼は目をそらさず、しっかりと視線を合わせたままきいてくれている。

 すこしだけ安心した。
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