愛毒が溶けたら
特に、放課後。教室での別れ際。

「もう関わらない」と言ってしまった。もっと他の言い方があったんじゃないかと、ため息が出る。


「って、こんなに気にするくらいなら、話の一つでも聞いてやればいいのに」


はぁ――と。何度目かになるため息をついた、その時だった。

ドンと、俺の背後から、すごい勢いで何かがぶつかる。気を抜いて歩いていたから、思わずこけそうになりつつも、何とか耐えた。


だけど――


俺の視界に写ったものを見て、ピシリと固まる。なぜなら、


「よっしゃー! 僕が一番!」


俺にぶつかって来たもの。
それは、なんと三石の弟だった。


「……! っ!」


目の前にいる「子供」の存在を認めた瞬間。

まるで目が回ったように、グラリと視界が揺れる。体を支える軸が一気に不安定になり、足元がふらついた。

次第に立っていられなくなった俺は、咄嗟に壁に手をつき、倒れるのを阻止する。
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