愛毒が溶けたら

「勇運くん……?」

「兄貴は警察官で頼りになるから、俺に電話するんじゃなくて110番すればいいのにって思った。だけど、本当は……嬉しかった」

「嬉しい……?」

「兄貴より俺を頼ってくれた事が、嬉しかったんだ」

「ッ!」



三石の大きな瞳が、ゆるやかに動いて……俺を捉えた。

その瞳は潤んでいて、なぜだか今にも泣きそうで。俺は流れてもない涙をぬぐうように、三石の目じりを親指で撫でる。



「いくら三石が兄貴の事を好きだろうが……俺は、三石の事が好きだから。ライバルである兄貴に勝てたようで、嬉しかったんだ。ちょっとした優越感みたいなもん」

「え……」



今、好きって言った――?



と、三石が驚いた表情で止まる。
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